1型糖尿病のこどもと家族の生活
08. 低血糖
インスリン注射をしている人は、みんな低血糖を経験したことがあるでしょう。遊びや運動に夢中になっている時に突然おこったり、夜中では自分で気づかなかったり……こう考えるとちょっと心配ですね。でも、低血糖は予防できるものです。
低血糖って、どんな時におきるの?
血糖が低くなりすぎた時におきるものなので、
- インスリン注射はいつもと同じでも、はげしい運動をした時
- インスリン注射はいつもと同じでも、
ご飯が食べられなかったり、少なかったりした時 - インスリンが多すぎた時などにおこります。
低血糖の時は、どうなるの?
人によってちがいますが、とてもおなかがすく、気もちが悪い、ふるえる、眠い、だるい、イライラする、頭がいたい、あせが出る、目がかすむ、などがよくみられます。このような症状は、血糖値が80mg/dLくらいであらわれる人もいるし、50mg/dLくらいになっても気づかない人もいます。
まわりの人は、顔色がわるい、きげんがわるい、無口になる、元気がなくなる、へんな行動などに気をつけてあげましょう。ひどくなると意識がなくなったり、けいれんをおこしたりすることがあります。
低血糖になった時は、どうすればいいの?
家での場合には、症状が軽い時にはできるだけ血糖値を測って、補食(ほしょく:ご飯やおやつとは別に、血糖が低い時に糖分をおぎなう食べ物)をとります。血糖値、自覚症状、食事までの時間、活動量、インスリン量などから、補食の量や種類を決めます。
- ※あらかじめ主治医の先生と補食の目安について決めておきましょう。
- ※血糖がすぐに上昇する補食とゆっくり上昇する補食を組み合わせることもあります。
- ※家以外の場所や重い症状の時は、血糖を測らずに、すぐに補食してかまいません。
意識がなくなるひどい低血糖の時
以前は、グルカゴンの注射を使っていましたが、最近、 グルカゴンの点鼻薬(鼻の穴に薬をいれる方法)が使えるようになりました。ひどい低血糖のときは周りの人もあわててしまいます。事前に使い方を学んでおきましょう。
また、意識がないときに口の中に食べ物やジュースを入れると、むせて気道に入ってしまうリスクがあります。他に方法がない緊急時以外は行わないでください。
※グルカゴンとは、血糖値を一時的に上げるホルモンです。
低血糖を予防しよう
最近では、インスリン製剤やインスリンポンプが進歩して、低血糖はおこりにくくなりました。しかし、低血糖がおこるのを不安に思っている子どももいます。低血糖を予防する方法を身につけておくことで、不安なく生活ができるようになります。
- 自分の低血糖の症状をよく知っておきましょう
どんな時に低血糖になりやすいが、どんな症状が出やすいか、分かるようになると、早く対応ができますね。 - 低血糖でなくても、きげんがわるくなったり、イライラしたりすることがあります。そのような時には、血糖を測って、本当に低血糖かどうかを確かめましょう。
- 食事の時間や注射の時間をできるだけ“規則正しく”しましょう
規則正しい生活をすることで、ひどい低血糖がおこしにくくなりますし、自分がどのような時に低血糖になりやすいか分かりやすくなります。 - はげしい運動をする前には、補食をしましょう
はげしい運動をする前には、ビスケットやパンなどゆっくり血糖が上がる食べ物を補食しましょう。
- インスリン量やインスリンポンプの設定について、主治医の先生に相談しましょう。
インスリンの調整によって、低血糖を予防することができます。いつも血糖が下がる時間帯があるとき、はげしい運動を行うときのインスリンの調整について、主治医の先生に相談しましょう。 - 昼間に激しい運動をした日は、夜間に低血糖をおこしやすいので注意しましょう。(→ 07.運動「運動するときに気をつけるポイント」を参照)
- 出かける時には、いつもグルコース、ビスケットなどの補食や糖尿病カードを持っていきましょう。思いかけず低血糖になったり、バスや電車がおくれたりして食事がおそくなることもあります。
- 補食した後は、虫歯予防のために可能な範囲で歯みがき・うがいをしましょう。夜中など、できないときは、白湯などを飲みましょう。