1型糖尿病のこどもと家族の生活
18. お酒とタバコ
最近では、お酒を飲んだりタバコを吸う人が増えています。しかし、お酒やタバコには、たくさんの害があることがよく知られています。特に、糖尿病のある人には、お酒やタバコは健康な人よりたくさんの害があります。
どうしてお酒を飲んだり、タバコを吸うのでしょう?
10代の糖尿病の方の調査では、お酒を飲んだことのある人もおり、多くは、友達や仕事の仲間づきあいで飲んでいました。楽しくなる、気持ちよくなるというのが、お酒を飲む理由でした。しかし、なかにはストレスがあるとたくさん飲んでしまう、と答えた人もいました。
タバコを吸う人の多くは、ストレス解消のために吸っていました。タバコを吸い始めるとなかなか止められず、ストレスが多い時にはタバコの量も増えていました。
お酒を飲んだりタバコを吸う人は、糖尿病のコントロールの悪い人が多い結果でした。
お酒やタバコには、どういう害があるのでしょうか?
お酒そのものの害
- お酒のカロリーは栄養にはなりません(エンプティーカロリー)
- お酒を飲んだ後、低血糖になります(アルコール性低血糖)
お酒は、肝臓で溜めている糖分をブドウ糖にして、全身に送り出すのを妨げます - お酒を飲むと、尿の量が増えて脱水(体の中の水分が減る)になりやすくなります
- お酒は、中性脂肪を増やします
中性脂肪が増えると、動脈硬化(血管がかたくなったり、つまりやすくなる)をおこしやすくなり、心臓や脳などの大切な血管に悪い影響があります。
また、肝臓の働きも悪くします - お酒は、神経の合併症を悪くします
お酒が、生活や糖尿病の管理にあたえる害
- お酒に酔っていると、低血糖などで倒れていても、「お酒によっているせい……」と思ってしまいます
- 夜おそくまでお酒を飲んでいると、ねる前のインスリンを忘れて高血糖になったり、次の朝おきられず、低血糖をおこしたり朝ごはんが食べられないなど、生活も乱れてしまいます。

タバコの害
- タバコは、ニコチン、タール、一酸化炭素といった体に害のあるものが200種類以上含まれています。タバコを吸うと肺がんになりやすいことは、よく知られています
- タバコは、心臓や脳などの太い血管の動脈硬化(血管がかたくなり破れやすくなる)をおこしやすくします
- タバコは、太い血管の先にある細い血管の血を流れにくくします。
細い血管がたくさん集まっている眼(め)や腎臓(じんぞう)に悪い影響をあたえますし、神経(しんけい)の合併症(がっぺいしょう)も悪くなります - 10代でタバコを始めると、おとなになって始めた人より止めるのがむずかしいと言われています
- タバコを止めようとすると、たくさん食べてしまい、太ってしまう人もいます
20歳をすぎると、法律上は、お酒を飲んだりタバコが吸えるようになりますが……
お酒は、できるだけ飲まないようにしよう。飲むときには気をつけよう!
- 電子タバコも加熱式タバコも、害はあります
- ※お酒やタバコでストレスを解消しているひとは、ほかの方法でストレス解消できるように、気晴らしや楽しみをたくさんもてるようにしたいですね!
- ※お酒やタバコを始めるきっかけは、友達だけでなく家族の影響が大きいことがよく
知られています。
家族みんなで、お酒やタバコについて考えてみましょう。