1型糖尿病のこどもと家族の生活

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10. 友達ともだちらせるか

学校に通っている子どもは、1日の大半の時間を学校で過ごします。糖尿病の治療は、生活のなかで行うので、学校でどのように授業や活動に参加するか、糖尿病を周りの人にどのように伝え、友達とどのようにつき合っていくかは、日々の糖尿病のコントロールのためにも大切です。また、おとなになって社会で生活していくときにも役立ちます。

糖尿病になったからといって、今までの生活をあきらめたり、制限する必要はありません。糖尿病でない友達と同じように活動することができます。糖尿病であることが分かってから、入院してインスリン療法や低血糖の対応などを学びましたね。これらのことをきちんと続けていれば、今までと同じような生活がおくれます。
 学校生活では、行事や校外学習など、毎日、いろいろなことがあります。学校の先生や養護の先生だけでなく、友達の理解と協力も大切になります。特に、小学生や糖尿病になって間もない時期、体調がすぐれないときなどには、周囲の理解と協力が助けになります。

糖尿病で受診している皆さんにお聞きしたところ、友達に話している人は、注射や補食を教室で行っている人もいました。話していない人は、保健室や職員室などで人目を気にしながら行っていたり、宿泊学習などで困ることがあるようでした。
 友達に知らせていることでよい点は、低血糖などの気分が悪くなったときの協力、受診のために休むことの理解、注射が打ちやすい、今までと同じような生活が送りやすいなどです。しかし、なかには糖尿病であることをからかわれたり、いじめられたことのある人もいました。

糖尿病になったことは、あなたや家族が悪いわけではありません。糖尿病であることが友達と比べてマイナスであることは決してありません。むしろ、友達にはできないことをたくさんやっているのです。周りの人に糖尿病のことを正しく理解してもらうことが一番いいですが、あなたが学校でどのくらいひとりでできるか、学校の先生がどのくらい協力してくれるか、クラスの友達やクラブ(部活)の状況などによって、だれにどのように説明するか決めましょう。年齢が高くなるにつれて、あなたが話せそうな人に話したいことを自然に伝えていけるようになるでしょう。
 また、友達に話していない場合には、友達は悪気がなくても、注射を打つために給食前にいなくなること、あるいはインスリンポンプを身につけていることや、病院に行くために休むこと、補食を食べることなどについて聞いてくることがあるでしょう。そういった時に、どのように答えるかを事前に考えておくとよいでしょう。
 入院していたこと、注射や補食のことなど、いろいろ聞いてくる友達もいるでしょう。友達はあなたのことを気にしてくれているのです。思い切って周りの人を信じて、糖尿病のことを話してみてください。きっといろんな協力が得られると思いますよ。

はじめて学校に行くときに

退院してはじめて学校にいくときは、いろいろな不安でいっぱいでしょう……。でも、入院中に覚えたことを守り、学校の先生や養護の先生に説明してよくわかってもらえば、心配なことはありません。友達も、きっとわかって協力してくれるでしょう。入院中にあらかじめ病院の先生から説明の手紙を書いてもらったり、糖尿病についての簡単な説明を書いて用意するとよいでしょう。学校の先生に病院に来てもらって、病院の先生から説明してもらうこともできるでしょう。そして、学校で困ったことはなんでも、病院の先生や看護師に相談するようにしましょう。

糖尿病の子どもを受けもったことのない先生が、過度に心配してしまうこともあります。糖尿病のことを説明し、今までと同じ生活が送れること、友達と同じように何でもできることを理解してもらうことが大切です。一方で、先生のサポートも必要です。低血糖の対応(補食のとり方、保管場所など)、インスリン注射を行う場所(水泳などでインスリンポンプを外した時の管理などもふくむ)、友達への説明内容、体育・部活動・学校行事への参加などについて、事前に話し合っておくことが大切です。
 担任の先生が変わったり、転校や進学してはじめての学校にいくときには、同じように説明しましょう。

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