1型糖尿病のこどもと家族の生活

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09. 高血糖こうけっとう・ケトアシドーシス・シックデイ

高血糖の時は、どうなるの?

高血糖とは、血液中のブドウ糖が正常値をこえた状態です。高血糖になるとおしっこにブドウ糖と水分が流出して、脱水になります。そして、これらによってのどがかわきます。のどがかわくため水分をたくさんとるようになります。
 高血糖のときによくみられる症状は、多飲(たくさん飲む)、多尿(おしっこが多い)、口渇(のどがかわく)です。その他に、だるい、体重減少がみられることもあります。ひどい高血糖が続くとケトアシドーシスや合併症につながるおそれがあります。

ひどい高血糖の時は、どうすればいいの?

血糖がとても高い(300mg/dL~400mg/dL以上)時には、数単位のインスリン注射を追加し、水分をできるだけたくさんとります。

  • 対応に迷ったときは、主治医の先生に相談しましょう。
  • 飲めない時や、飲んでもはいてしまうときは、ケトアシドーシスのおそれがあるのですぐに病院へ連絡しましょう。

ケトアシドーシスって、なに?

ケトアシドーシスは、インスリンがたりない時におこるものです。糖尿病になったときと同じように、インスリンがたりないために血液の中にあるブドウ糖を細胞の中に取りこめなくなり、ブドウ糖が血液の中にとどまり、血糖が高くなります。一方、体の細胞は、ブドウ糖をエネルギーの成分として利用できないために、体の脂肪を分解してエネルギーの成分を作ろうとします。そうすると、脂肪が分解されるときに出てくる“ケトン体”が血液の中に貯まってきます。人間の血液は弱いアルカリ性ですが、酸性のケトン体がたくさん貯まることで血液が酸性になってしまいます。この状態が、ケトアシドーシスです。

ケトアシドーシスって、どんな時におきるの?

かぜなどにかかって高い熱を出したり、インスリン注射ができなかったり、ジュースなどを一度にたくさん飲んだりした時などに、急にケトアシドーシスになることがあります。
 また、食事療法を守れずにたくさん食べることが続いたり、注射の量が足りないことが続いたり、生活がとても不規則になったり、ストレスの大きいことが続いた時などに、高血糖が続き、ケトアシドーシスでたおれてしまうこともあります。

ケトアシドーシスの時は、どうなるの?

のどがかわく、おしっこが多くなる、おなかがいたくなる、はき気がする、はく、甘いにおいのする息をする、だるいなどです。さらに、ケトアシドーシスがひどくなると、意識が低下する(ぼんやりする、へんな行動をするなど)、深く大きい息をする、こん睡(ねむっていまい、声をかけてもおきない)になります。そのままにしておくと、危険です。

ケトアシドーシスになった時は、どうすればいいの?

ケトアシドーシスの治療には、点滴が必要になります。すぐに病院へ行きましょう。

  • ※決められた治療を正しく行っていれば、ケトアシドーシスをおこすことは、ほとんどありません。体の調子の悪い時には、いつもより血糖測定をこまめに行い、早めに対応しましょう。
  • ※幼児など小さな子どもや、前にケトアシドーシスをおこしているときには、早めに病院へ行きましょう。

病気の日のケア(シックデイ・ケア)とは?

かぜ、熱がある、げり、けが……など、病気になった時の対応のことをいいます。
 病気になった時には、食事があまり食べられなくても血糖が上がりやすくなります。いつもより血糖測定をこまめに行い、食べられるものを食べ、水分をとり、インスリンの量を調整する必要があります。もちろん、きちんと治療して病気を早く治すことが大切です。

  • 食べられないという理由でインスリン注射を打たないことは、とても危険です。インスリン注射は必ず打ちましょう。
  • ※どのようにしてよいか分からない時や心配な時には、主治医の先生に連絡して相談したり、早めに病院へ行きましょう。

インスリンポンプトラブルによる高血糖・ケトアシドーシス

インスリンポンプによって、健康な人のインスリン分泌に近いインスリン投与ができるようになりました。また、血糖値とリンクしているポンプでは、高血糖や低血糖にならないようにインスリン量を調整してくれるものもあります。そのため、低血糖や高血糖になることが減りました。しかし、ポンプは機械のため、トラブルがおきることがあります。チューブがつまったり、カニューレ(針)が抜けることもあります。ポンプはすぐに効くインスリンを入れているため、トラブルが起こると体の中からインスリンがなくなるのも早く、短い時間で高血糖やケトアシドーシスになってしまいます。
 “おかしいな”と思ったら、ポンプがきちんと動いているのか、刺入部やチューブに問題がないか確認しましょう。

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