1型糖尿病のこどもと家族の生活
01. 糖尿病はどんな病気でしょうか
糖尿病は、「インスリンの働きが十分でないために、食べたものをエネルギーに変えたり、成長することがうまくいかなくなる病気」です。
インスリンは、胃のすぐ後ろにある“すい臓”でつくられます。すい臓にはランゲルハンス島と呼ばれる細胞の集まりがあり、このランゲルハンス島のベータ(β)細胞でインスリンが作られます。しかし、1型糖尿病では、β細胞が破壊されてインスリンがだんだん出なくなり、ついには全く出なくなってしまいます。
インスリンは、食物にふくまれる糖分をエネルギーや体の成分に変えるときになくてはならないホルモンですので、インスリンが出なくなると、ブドウ糖をエネルギーや体の成分として利用できなくなり、ブドウ糖が血液の中にとどまり血糖が高くなります。そして、尿のなかにも出ていくようになります。このような糖尿病には、生きていくためにインスリン注射が必要であり、1型糖尿病と呼ばれます。子どもの糖尿病の多くはこのタイプです。
一方、インスリンが出ていても、充分には出ていなかったり(インスリン分泌不全)、インスリンが効きにくい(インスリン抵抗性)場合には、やはり糖尿病となります。このタイプでは、始めからすぐインスリンを注射する必要はなく、2型糖尿病と呼ばれます。このタイプは、太っているおとなの人に多くみられます。
1型糖尿病は、定期的に病院に来て医師や看護師などと相談しながら、インスリン注射をきちんと行うこと、血糖値が適切な範囲に保てるように血糖測定を行うこと、バランスのよい食事や食べ過ぎないこと(食事療法)、生活のなかで体を動かしたりスポーツを続けること(運動療法)により、ふつうの生活ができます。
2型糖尿病は、食事療法と運動療法が基本ですが、飲み薬やインスリン注射が必要になることもあります。飲み薬やインスリン注射が必要なくても、また、体の調子が悪くなくても、定期的に病院に来て専門の先生に診てもらうことは、おとなになって起こりやすくなる合併症を早く見つけるためにもとても大切です。
糖尿病になっても、正しい治療を続ければ健康な人と変わることなく、学校生活や社会生活を送ることができます。プール、運動会、遠足、修学旅行などへの参加、また外食や外泊、旅行なども、そのための注意を守れば大丈夫です。おとなになって会社や学校、病院、店などで働いている人、家業を手伝っている人、スポーツ選手、3人の子どものお母さんなど、元気に生活している先ぱいがたくさんいます。
この本に出てくることをよく学んで、糖尿病とうまくつきあっていきましょう。