1型糖尿病 ~先輩からのメッセージ~
南昌江内科クリニック(福岡県福岡市) 南昌江
私は、中学2年生の夏に1型糖尿病を発症してから45年間インスリン注射を行っています。
現在は、福岡で糖尿病専門クリニックの院長をしていますが、こんなに元気で仕事を続けながら、フルマラソンもこれまで28回完走しました。
私が発症した頃のインスリン注射は、自宅の鍋でガラスの注射器を煮沸消毒して使っていました。血糖測定器も持ち歩きできるものではなく、保険適用もなくて大変高価なものでした。現在は、インスリンのペンやポンプも進化し、指で血糖をはからなくてもリブレなどで簡単に血糖の変動が確認できる時代になりました。
1型糖尿病を発症した皆さんやそのご家族の方は、「どうして私が?どうしてこの子が?」と悩むことも多いと思います。一生続けなければいけない治療や将来の不安も感じることと思います。
幼稚園や小学生の頃は、まだお母さんにやってもらうことがあると思いますが、少しずつ自分でできるように頑張ってください。小学校の高学年から中学生になるころには、何でも自分でできるようになると思いますし、できるようにしてください。
そして、大切なのは、夢を持ってそれに向かって努力をしてください。糖尿病だからと言ってできないことは何もありません。今では、1型糖尿病を持つプロのスポーツ選手もたくさんいます。
私も、39歳で初めてフルマラソンに挑戦し、完走しました。その時は「これまでつらいことも沢山あったけど生きてきて本当に良かった!」と人生で一番感動しました。こんな成功体験をすることで、糖尿病である自分にも自信がついてきました。そんな体験を是非同じ病気の人たちにも味わっていただきたいと思い、沢山の方々の協力をいただいて、Team Diabetes Japanというマラソンのチームを作り、今も走り続けています。
長い人生で辛いこともあると思います。そんな時は一人で悩まずにご家族やキャンプの友人やスタッフさん、病院の看護師さんや先生に相談してくださいね。
これから大人になっていく皆さん、ぜひ夢を持って、何にでも挑戦して自分の人生を歩んでください。応援しています。