1型糖尿病のこどもと家族の生活
13. 小児糖尿病キャンプ
小児糖尿病キャンプとは?
日本では、小児糖尿病キャンプは1963年に千葉県で初めて行われました。今では、日本全国の約50か所で行われています。以前は、インスリン注射や血糖測定の方法がむずかしかったり、注射があまり進歩していなかったので食事の決まりが多かったり、周りの人たちに病気のことがよく知られていなかったことなどから、治療やきまりを身につけることがキャンプの大きな目的でした。今では、いっしょに生活することで同じ病気をもつ仲間と交流することや、新しい友達をつくること、仲間や医師、看護師、栄養士などの医療者や生活スタッフのお兄さん、お姉さんからインスリン注射や血糖測定の方法、食事などの工夫、友達への説明の仕方や生活についてアドバイスがもらえることなどが目的になっています。
キャンプのスタッフの中には、糖尿病をもちキャンプを経験したことがあり、高校を卒業したお兄さん(OB)やお姉さん(OG)も参加します。OBやOGは、先ぱいとして、みなさんの相談相手になってくれます。キャンプのスタッフは、みなさんがキャンプに楽しく参加できるように、応えんしています。
キャンプに一人で参加するのは、ちょっと心配?!
キャンプにはじめて参加するときは、ちょっぴり不安もあると思います。
でも、みんなで集まって自己紹介(じこしょうかい)やゲームをするうちに、少しずつ楽しくなってきます。
いろいろな人がいるんだなあ……。同じ部屋の子と、すぐに友達になった。
グループでたくさん話した。学校のこと、注射のこと、これからのこと……。
OGやOBは、何でも知っている、お兄さんやお姉さん。
病気について勉強もした。病院の先生の話、役に立ちそう。
夜低血糖になった時、看護師さんが来てくれた。
ご飯について説明してくれた栄養士さん、
カーボカウントにもちょうせん!
キャンプファイヤーも大盛り上がり。
友達がいっぱいできた。
来年も来たいなあ……
キャンプになぜ行くの?
・キャンプは糖尿病のコントロールを続けるために必要な知識や技術を学ぶ・ふり返る場
糖尿病は、最初に病気になった時以外は、インスリンの方法を変えるとか体調がとても悪いときなどを除いて、ほとんど入院しない病気です。毎月、病院に通っている時に病気や治療について教えてもらうこともあるでしょう。でも、あなたが大きくなっていくときに、少しずつ新しいことを勉強していくことも大切です。なれてきた注射の打ち方や、注射を打つ場所、血糖測定のし方、低血糖時の補食のし方も時々ふり返り、あなたが「おとな」になって全部ひとりで行うときまでに、しっかり身につける必要があります。
キャンプでは、病院の先生や看護師、栄養士さんなど、たくさんの専門のひとが相談にのってくれます。OBやOGも経験をもとにアドバイスしてくれるでしょう。
・キャンプは同じ病気をもつ仲間と遊ぶ・学ぶ・わかり合う場
あなたには、学校の友達や、習い事の友達などたくさんの友達がいるでしょう。それはとても大切なことです。
でも、ちょっとなやんだり元気が出ない時に同じ病気の仲間は、困っていることやあなたががんばりすぎていることを、よく分かってくれるでしょう。はげましてくれたり、うまくいく工夫を教えてくれることもあるでしょう。反対に、あなたが困っている友達を支えてあげることもあるでしょう。小さな仲間ががんばっている姿に、はげまされて元気が出ることだってあります。とくに、思春期には、同じ病気をもつ仲間は大きな支えになり、キャンプをきっかけに交流している友達がたくさんいます。
ご家族の方へ
小児糖尿病キャンプの行われている場所は、日本糖尿病協会発行の「さかえ」の、毎年5月号に情報が掲載されます。日本糖尿病協会のホームページでも確認できます。小児糖尿病キャンプには、子どもだけを対象にしているキャンプと、家族を含めて対象にしているキャンプがありますし、対象とする子どもの年齢もキャンプの内容も、それぞれのキャンプによって違います。また、患者会の会員を対象としたキャンプも多いので、確認をしてください。
子ども同士の交流だけでなく親同士の交流も大きな助けになると思います。