理事長挨拶

糖尿病を持った子ども達の笑顔のために

理事長 菊池透

 日本小児・思春期糖尿病学会理事長を拝命いたしました埼玉医科大学小児科菊池透でございます。川村智行先生、浦上達彦先生という偉大な先生方の後任であり、身の引き締まる思いでございます。全身全霊をかけて取り組む所存です。何卒よろしくお願い申し上げます。

 小児・思春期糖尿病学および診療には、解決すべき課題が山積しております。1型糖尿病の先進医療技術の普及・適正使用の推進、2型糖尿病への適正治療の推進、薬物治療の開発、単一遺伝子異常による糖尿病の診断・適正な治療の開発、サマーキャンプ運営の支援のなどのほか、糖尿病を持った子ども達が学校・社会で不利益を受けないように、小児・思春期糖尿病に関するスティグマ・アドボカシー活動は重要課題の一つです。本学会のこれらの課題に対して、重点的に取り組んでまいります。

 小児医療から成人医療へのスムーズな移行期医療の実現は、本学会の重要課題の一つです。この課題を解決するためには、20歳以降の医療費自己負担額とプレコンセプションケアへの取り組みが必要です。まず、医療費の問題です。満20歳を迎え、小児慢性特定疾病認定期間が終了した後の医療費自己負担額は、重要な問題です。Sensor Augmented Pump(SAP) を使用した1型糖尿病治療は、毎月の自己負担額約3万円、毎年約36万円です。20歳から65歳まで45年間で約1600万円になります。このような自己負担額が生涯にわたり必要な疾病は、他にありません。特に収入が多くない20歳代では、毎月の負担が多く、SAPによる治療を継続できない患者さんが少なくないと考えられます。本学会では、1型糖尿病の指定難病への認定の実現を重要課題とし、その実現のために、日本糖尿病学会、日本小児内分泌学会等と協力して推進していく所存です。また、糖尿病を持つ女性が安心して妊娠出産するためには、小児・思春期からのプレコンセプションケアが必須です。しかしながら、現実は、プレコンセプションケアの普及は不十分です。日本糖尿病・妊娠学会との連携しながら、その啓発活動を進めてまいります。

 本学会は、小児科、糖尿病内科医師、薬剤師、看護師、栄養士、臨床心理士等、小児・思春期および若年成人の糖尿病診療・研究に関わる多職種・多診療科の専門職の方々が会員となっております。この多様性のある会員の力を結集して「糖尿病を持った子ども達の笑顔のために」力を尽くしたいと思います。会員各位におきましては、益々のお力添えをお願いしたく存じます。また、本学会の活動に賛同していただける方の学会への入会をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

 最後に、糖尿病をもった小児・思春期および若年成人が幸せな人生を過ごせることを祈念し、ご挨拶とさせていただきます。

2023年7月17日

理事長 菊池透
(埼玉医科大学小児科)

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